パゴダ(仏舎利塔)
1988年10月26日、初めてのスリランカ巡礼で豪雨の中を古刹ケラニヤ寺院へと向
かった当院初代貫主(住職)故田中龍玄尼は、停電中の本堂を参拝し、多くの感激
を胸に、雨の中で境内にある菩提樹の葉を一心に拾っていました。その姿を見た故
ダンマラキッタ管長が自室に招き入れてくださり「あなたの敬虔な祈りのお姿に感
動しました。仏があなたを求めている。」と、秘蔵であるお釈迦様(ブッダまたは
釈尊)の仏舎利(お釈迦様の入滅後、荼毘に付された際の遺骨および灰塵)を授け
られました。
釈尊は悟りを開いて8年目の1月の満月の日に、マニアキッタ王の招待に応じてケラ
ニヤを訪れ、宝石が散りばめられた王座に座り、ダンマ(真理)を説法されたとい
われています。その王座が置かれた場所にパゴダが建てられました。以来ケラニヤ
は、仏教徒の聖地として信仰の中心となっています。
釈尊は「私の入滅後、分骨した地にはパゴダを建てるように」とご自身で指示され
たといわれ、その後パゴダは仏殿、菩提樹とならんで仏教寺院の三要素となりまし
た。釈尊の訪れから2500年、その教えを今に受け継ぐケラニヤ寺院。そこには釈
尊の心が時を越え今も生き続けています。
龍玄精舎のパゴダは、このケラニヤ寺院のパゴダと全く同じ姿を持ち、塔上には同
寺院より贈られ た「仏教の永遠の真理」を象徴するピナカルが掲げられています。
この建物の中の内壁には、釈尊の前世と生涯を描いたジャータカ物語ならびに、ス
リランカの絵師により描かれた龍玄前貫主の七世に渡る絵伝が掛けられ、天井には
仏法を讃える天女が舞っています。